王の恋は、いつも“許されない”ところから始まる。
民のために生きた者は、なぜか最も孤独だった。
史実とフィクションの狭間で描かれる韓ドラ時代劇は、ただの歴史ではなく“感情の記録”。
批評家の視点で、一話で沼り、最終話で涙する25作を、テーマ別に贈る。
2025年版保存版初心者OK
なぜ時代劇は泣けるのか──“運命”が感情を研ぎ澄ます
韓国時代劇の真髄は、華麗な衣装や壮大なセットではない。
私が何百本という史劇を分析して確信したのは、
その中心にあるのは「愛」と「責務」が決して両立しない世界、
つまり“心の矛盾”そのものだということだ。
王であれ、宮女であれ、彼らは誰もが誰かを守るために嘘をつく。
その一瞬の視線、袖口の震え、沈黙の奥にある“語らない台詞”。
史劇の魅力は、台本に書かれていない場所に宿っている。
俳優の彼らがよく口にする。
「史劇では、涙よりも“間”が難しい」と。
感情を大声で叫ぶ現代劇と違い、時代劇では沈黙が叫びになる。
だからこそ私たちは、言葉の前に涙してしまうのだ。
──「剣が語れないことを、視線が語る。」
※取材参考:『赤い袖先』主演イ・ジュノ(MBC制作発表会インタビュー, 2021)/
『六龍が飛ぶ』キム・ミョンミン(SBSドラマ特番, 2016)
初心者におすすめ!見やすい韓国時代劇 10選

「初めての史劇、どれから観たらいい?」とよく聞かれる。
私が答えるのはいつも同じ――“泣きながら笑えること”を基準にしてほしい、と。
ここでは、物語の入り口にぴったりな10作品を、少しだけ深掘りして紹介します。
- トンイ(同伊)
正義感の強い少女が宮廷の中で成長し、やがて王の母となる物語。
“善意で世界を変える”というシンプルな信念が最後まで貫かれ、
史劇の重さよりも「人間らしさ」に心が温かくなる。
名シーンが多く、韓ドラ時代劇の入門書のような存在。
▶ MBC公式・U-NEXT配信中 - イ・サン
国と愛、理想と孤独――王として、男としての苦悩を描いた長編大作。
「完璧ではない王」が悩みながらも前に進む姿がリアルで、
現代を生きる私たちにも響く“働く人のドラマ”でもある。
──歴史が遠く感じる日ほど、この作品が沁みる。 - 赤い袖先(The Red Sleeve)
王と宮女。恋と責務。どちらも選べない二人が、沈黙の中で愛を貫く。
演技も演出も“音のない余白”が美しく、視線だけで泣ける作品。
王が背を向けたあの瞬間の静けさを、ぜひ体験してほしい。
▶ MBC公式・Netflix/U-NEXTで配信中 - 雲が描いた月明かり
宮廷×青春×恋。パク・ボゴムとキム・ユジョンの透明感が眩しい。
ロマンスの甘さと時代背景の切なさが絶妙で、OSTも名曲揃い。
笑って泣ける“青春史劇”を探している人におすすめ。
──恋も政治も、月明かりの下では同じ輝きを放つ。 - 太陽を抱く月
王と巫女という“ありえない関係”が、時代を越えて愛を紡ぐ。
ファンタジー設定ながら感情の描き方が繊細で、OST「Back in Time」は神曲。
韓国中を泣かせたロマン史劇の金字塔。
▶ MBC公式・U-NEXTで配信中 - 王になった男(The Crowned Clown)
一人二役のヨ・ジングが魅せる“人格の二重奏”。
権力に翻弄されながらも「誠実さ」で王になっていく姿が胸を打つ。
映像の美しさ、演技の緊張感、完成度すべてが高い。
──“正しさ”と“優しさ”の違いを教えてくれる史劇。 - 100日の郎君様
記憶喪失になった王子が、庶民の中で“愛と生活”を学んでいく。
コメディのようでいて、人生のやさしさに包まれる温かな作品。
EXOのド・ギョンスの自然体の演技も見どころ。
▶ Netflix・U-NEXTで配信中 - 恋慕(The King’s Affection)
女として生まれながら王として生きる。
禁忌と自由の狭間で揺れる主人公の強さに、静かに心を掴まれる。
性別を超えた愛を描いたこの作品は、世界190か国で配信され大ヒット。
──“誰を愛するか”より、“どう愛するか”を問う史劇。 - 花郎(ファラン)
イケメン揃いの華やか史劇と思われがちだけど、
友情と青春の成長物語としても見応え十分。
BTSのV、パク・ソジュン、パク・ヒョンシクら人気俳優たちの化学反応が光る。
▶ U-NEXT/Prime Video配信中 - シュルプ(Under the Queen’s Umbrella)
皇太后としての威厳と“母としての涙”の狭間で揺れる女性を描く。
見た後に、自分の母を抱きしめたくなる。
コメディ調の導入から、最後は思わず静かに涙がこぼれる秀作。
──王宮で最も強いのは、“母”だった。
迷ったら「赤い袖先」「100日の郎君様」「雲が描いた月明かり」から。
どれも“物語の温度”がちょうどいい。観終わったあと、心がふっとやわらぐはず。
史実に根ざした本格派 7選──信念が人を王にする
「史劇の面白さって、結局どこにあるの?」
そう聞かれたら、私は迷わずこう答える。
“人が理想のために何を失うかを描いている”、と。
ここでは、史実をベースにしながらも、
登場人物の“生き方”が胸に刺さる本格派7作品を紹介します。
- 善徳女王(ソンドクヨワン)
韓国初の女性統治者・善徳女王の生涯を描いた大作。
彼女の“覚悟と孤独”は、時代を超えて現代女性にも響く。
政治の冷たさの中に、人としての優しさを失わない姿は、まさに「強さ」の定義そのもの。
キム・ヨシンとの友情と対立、ミシルとの知略戦――どの一話にも哲学がある。
──強くあろうとするほど、人は静かに壊れていく。 - 六龍が飛ぶ(ユッリョンイナンダ)
李氏朝鮮建国の裏で燃えた六人の志を描く群像史劇。
イ・バンウォン(後の太宗)を中心に、“正義とは何か”を問い続ける3か月の旅。
特筆すべきは脚本の緻密さ。理想が腐敗する過程を、こんなにもエンタメとして見せる史劇は稀。
現代の政治ドラマを凌駕するリアリズムがある。
▶ SBS公式/Netflixで一部地域配信中 - 深い根の木(根の深い木)
世宗大王が“文字”を創ろうとした時、
それを脅かす暗殺者が現れる――史実×サスペンスの傑作。
ハングル創製の裏に隠された「言葉の力」がテーマで、
“文字を持たない民は、魂を奪われる”というメッセージが突き刺さる。
俳優ハン・ソッキュの演技は圧巻。
──言葉は武器よりも強く、祈りよりも残酷だ。 - チュモン(朱蒙)
高句麗の建国神話を描く、韓国史劇の“原点”にして金字塔。
物語のスケール、人物の誇り、映像の壮大さ――すべてが“王道”の名にふさわしい。
一話観るごとに「生き抜く力とは何か」を問われる。
子を想う母の祈りのシーンは、史劇史上屈指の名場面。
▶ MBC公式アーカイブ配信あり - 帝王の娘 スベクヒャン
“王の血”を持ちながらも、愛に生きた女性の物語。
豪華絢爛な史劇というよりも、日常に寄り添う“静かな人間ドラマ”。
母と娘、愛と嫉妬――すべてが小さな選択の積み重ねで動いていく。
毎話、心のどこかに小さな痛みが残る優しい史劇。
──歴史に名を残さなくても、愛は誰かの心に残る。 - 推奴(チュノ)
奴婢を追う男と、自由を求めて逃げる人々。
史劇に“肉体”というリアリティを持ち込んだ革新的作品。
アクションの激しさの裏に、人間の尊厳を問う哲学がある。
ソン・ヒョンジュン、オ・ジホらの熱演が胸を焦がす。
▶ KBS公式・U-NEXT配信中 - ミスター・サンシャイン(Mr. Sunshine)
明治期の朝鮮を舞台に、愛国と恋のあいだで燃える人々を描く。
“祖国を愛すること”と“人を愛すること”――どちらも裏切れないからこそ切ない。
キム・テリ、イ・ビョンホン、ユ・ヨンソクという豪華共演が織りなす感情の波は圧倒的。
ラスト5分、静かに流れるあの光景を忘れられない。
──光と影、そのどちらにも愛がある。
──「歴史は勝者が書く。だが、物語は“愛した者”が残す。」
笑って泣ける“時代劇ラブコメ” 5選──心が軽くなる夜に
韓ドラ時代劇の魅力は、涙だけじゃない。
王宮の陰謀も、愛の駆け引きも、少し引いて見れば案外コミカルだ。
だからこそ、ラブコメ史劇は「生きることの可笑しさ」を思い出させてくれる。
重い史劇に疲れた夜に、笑って泣ける“体温リセット”を。
- 哲仁王后(Mr. Queen)
現代のシェフが朝鮮時代の王妃の身体に入ってしまう──という前代未聞の入れ替わり史劇。
ジャンルを超えたスピード感とギャグセンス、それでいて政治ドラマとしての骨太さも兼ね備える。
シン・ヘソンの演技が神がかり的で、笑いながら「生きづらさ」を考えさせられる名作。
──“時代が違っても、女は笑いで世界を変えられる”。 - 新米史官ク・ヘリョン
“史書に女性の声を刻みたい”という志を持った女性史官の奮闘記。
知的なラブコメでありながら、フェミニズム史劇の原点でもある。
チャ・ウヌ(ASTRO)の柔らかな演技が、物語に優しさを添える。
観終えた後、自分の言葉で日々を綴りたくなる。
▶ Netflix配信中 - ノクドゥ伝(ノクドゥジョン)
女装して未亡人村に潜り込む青年と、秘密を抱えた少女のロマンス。
一見コミカルだけど、「性と社会の役割」を巧みに風刺する脚本が秀逸。
チャン・ドンユンのしなやかな演技は、時代劇の概念を軽やかに覆す。
──笑っているうちに、“自由とは何か”を考えている。 - 成均館スキャンダル
女子禁制の学問所に、男装して潜り込んだ少女が巻き起こす恋と友情。
パク・ユチョン、ソン・ジュンギ、ユ・アインという黄金トリオが生んだ青春の爆発力は今も伝説。
明るいのに切ない、“友情の中で芽生える初恋”が尊い。
▶ U-NEXT配信中/原作:チョン・ウングォル『日出処の天子』作家 - 恋慕(The King’s Affection)
「ラブコメ枠」でありながら、性別と身分の壁を越える繊細な愛が描かれる。
優しいユーモアが物語を包み込み、重くなりすぎない絶妙なバランス。
最後まで“心がやわらかくなる痛み”を味わえる史劇。
──笑って泣ける恋は、時代を越えていちばん新しい。
史劇のラブコメって、まるで長い冬のあとに咲く梅の花みたい。
少しだけ笑って、少しだけ泣いたあと、
「あ、また明日も頑張れるな」って思えるんです。
新潮流を作ったNetflix発 3選──ジャンルを溶かす勇気
史劇=古典、という時代はもう終わった。
Netflix発の韓国時代劇たちは、「時代」を物語るのではなく、「時代を再構築」している。
ゾンビ、神話、魔法――一見ありえない要素を取り込みながら、
その根底には“人間の尊厳”という不変のテーマが流れている。
ここでは、韓国史劇の進化を象徴する3作品を取り上げます。
- キングダム(Kingdom)
ジャンル:史劇 × ゾンビ × 政治サスペンス。
腐敗した王朝と疫病によって暴かれる“人間の飢え”を描く、Netflixの金字塔。
導入5分で世界観に引き込まれ、後半は涙が止まらない。
歴史考証の精密さと、ゾンビという寓話的メタファーが見事に融合している。
キム・ウィソク監督が語った「ゾンビは飢えた民の象徴」という言葉がすべて。
▶ Netflixオリジナル(2019年〜)/主演:チュ・ジフン、ペ・ドゥナ
──生き残るために戦う。それはいつの時代も、王ではなく“民”だ。 - アスダル年代記(Arthdal Chronicles)
神話と人間が共存する“想像上の古代”を舞台にした、壮大なファンタジー史劇。
韓国ドラマ界が総力を挙げて挑んだワールドビルディングの極致で、
まるで『指輪物語』と『朱蒙』が融合したような神話的世界観。
ソン・ジュンギとチャン・ドンゴンの対峙は、光と影の神話そのもの。
「人間とは何か」という根源的な問いをエンタメとして昇華した傑作。
▶ Netflix配信中(tvN共同制作)/監督:キム・ウォンソク『未生』
──文明のはじまりは、いつも“愛と裏切り”から生まれる。 - 還魂(Alchemy of Souls)
魂を入れ替える“転魂術”という架空の魔法を軸に、愛と成長を描くファンタジー史劇。
スピード感ある展開と、圧倒的な映像美で世界中のファンを魅了。
史劇のフォーマットを保ちながら、魔法世界での人間ドラマとして成立している点が革新的。
脚本は『トッケビ』『ミスター・サンシャイン』のホン姉妹――つまり、泣けないはずがない。
▶ Netflix配信中(tvN制作)/主演:イ・ジェウク、チョン・ソミン
──“魂”を入れ替えても、想いまではすり替えられない。
この3作品に共通するのは、「史劇というジャンルを壊しながら守っている」という矛盾。
古代も王朝も、舞台は変われど、描いているのは人間の“痛み”と“希望”だ。
だからこそ、どんな時代でも通用する。
史劇がここまで自由になった今、もう“教科書の中の歴史”には戻れない。
──時代劇は、いま最も“現代的”なジャンルになった。
mio的 No.1──『赤い袖先(The Red Sleeve)』が教えてくれた“愛の形”
たくさんの韓ドラ時代劇を観てきたけれど、今でもふと最終話を思い出して胸がぎゅっとする。
そんな唯一の作品が、『赤い袖先(The Red Sleeve)』なんです。
このドラマは、王と宮女という立場の違う二人が、「愛よりも使命を選ぶ」物語。
つまり、“好き”だけではどうにもならない世界の中で、それでも心を通わせる人たちの話です。
放送当時、韓国では「泣ける史劇」の代名詞みたいになって、
MBC演技大賞でイ・ジュノさんが涙を見せた瞬間、私も画面越しに泣いていました。
実は、制作発表会でイ・セヨンさん(ソン・ドギム役)が言っていた言葉が忘れられません。
「王の愛を拒むことが、彼女にとっての忠誠だった」と。
それを聞いた瞬間、『赤い袖先』って“恋の物語”じゃなく、“生き方の物語”なんだと思ったんです。
この作品の魅力は、派手なセリフではなく、静けさの中にある熱。
王が背を向ける一瞬、ドギムが息を飲む一拍。
その“間”にすべての想いが詰まっていて、何度観ても心が震えます。
たぶんそれが、史劇にハマる人が後を絶たない理由なんですよね。
もしまだ観ていない方がいたら、ぜひ静かな夜に。
エンドロールを見終えたあと、きっと誰かのことを思い出してしまうはずです。
──「愛とは、選ばなかった方を、ずっと胸の中で抱きしめること。」
※参考:『赤い袖先』MBC制作発表会(2021年11月)/MBC公式作品情報
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一覧で確認:本記事のおすすめ25作
- トンイ(同伊)
- イ・サン
- 赤い袖先(The Red Sleeve)
- 雲が描いた月明かり
- 太陽を抱く月
- 王になった男(The Crowned Clown)
- 100日の郎君様
- 恋慕(The King’s Affection)
- 花郎(ファラン)
- シュルプ(Under the Queen’s Umbrella)
- 善徳女王
- 六龍が飛ぶ
- 深い根の木(根の深い木)
- チュモン(朱蒙)
- 帝王の娘 スベクヒャン
- 推奴(チュノ)
- ミスター・サンシャイン
- 哲仁王后(Mr. Queen)
- 新米史官ク・ヘリョン
- ノクドゥ伝
- 成均館スキャンダル
- キングダム
- アスダル年代記
- 還魂(Alchemy of Souls)
- 大長今(宮廷女官チャングムの誓い)
まとめ──“次の一話”は、どの時代?
たくさんの韓ドラ時代劇を観てきても、結局いつも思うんです。
どんな時代を描いても、そこにいるのは「今を生きる私たち」だなって。
王の孤独も、宮女の涙も、誰かを想う気持ちも──
形こそ違えど、みんな同じ“心の温度”を持っている。
だから史劇を観るたび、少し勇気をもらえるんですよね。
「あの時代を生きた人も、ちゃんと悩んで、ちゃんと愛してたんだ」って。
それを思い出すだけで、今日一日が少しだけやさしくなれる。
もし、今なにかに迷っているなら──
次の一話は、時代劇にしてみませんか?
遠い過去のようでいて、きっとあなたの物語に繋がる何かが見つかるはずです。
──「時代が違っても、人はやっぱり“誰かを想って”生きている。」
- Q. 初心者はどれから観ればいい?
- 「赤い袖先」「100日の郎君様」「雲が描いた月明かり」が入りやすく、その後「トンイ」「王になった男」へ進むのがおすすめ。
- Q. 史実寄りの“重厚系”は?
- 「六龍が飛ぶ」「深い根の木」「善徳女王」。近代期なら「ミスター・サンシャイン」。
- Q. 笑って泣けるラブコメ史劇は?
- 「哲仁王后」「新米史官ク・ヘリョン」「ノクドゥ伝」「成均館スキャンダル」。
- Q. 配信はどこで観られる?
- 配信権は頻繁に更新されます。視聴前にNetflix/U-NEXT/Disney+/Prime Videoなど各公式の最新情報をご確認ください。
情報ソース/参考リンク
本記事は、作品公式サイト・放送局公式・主要配信プラットフォーム・公的観光情報を一次情報として参照し、筆者の視聴と批評の蓄積から再編集しています。配信状況や権利は随時変動するため、最新の公式情報をご確認ください。
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- SBS 番組ページ
- KBS 番組ページ
- tvN 公式
- 韓国観光公社(ロケ地)
- Rakuten Viki(作品カタログ参照)
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